テスラ、先行き暗いかもな、と思ってきた

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僕との付き合いが長い人は、テスラをまだほとんどの人が話題にもしていない頃から注目してきたことを知っている。
2009年 アゴラEV(電気自動車)市場に IT技術応用で参入したテスラに学ぶ 
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008年  エコカー開発ベンチャー テスラに学ぶ事業モデル

その僕が、いまテスラは数年後には身売りしているのではないか、という懸念を抱き始めている。
その理由は簡単だ。電気自動車(EV)の時代はあと20年は来ない、という見込みが立っているからだ。2014年8月25日付の日経新聞の一面記事によると、自動車市場のシェアにおける、化石燃料をベースとした内燃機関=エンジン搭載の自動車のシェアは2030年くらいまで圧倒的多数のままだ。プラグインハイブリッド(通常のエンジン車に後付けてモーターとバッテリーを積む形のハイブリッド車)を含むハイブリッド車(HV)でさえ10%程度の見込みである。

要はエコカーの決めてとしてはEVはいまだに切り札的存在になっていない。高価な上に、電気を充電するための設備がまだまだ整っていない。さらに、意外なほどにエンジン車が燃費が良くなっており、EVを冒険して買うよりも、結果的に経済的になってきているからだ。

現在、ヨーロッパを中心にエコカーの切り札となっている潮流はダウンサイジングだ。つまり、なるべく小さいエンジンで、ガソリン消費を少なくするという考え方だ。3000ccのエンジンを乗せていたクルマに、いまでは2000ccのエンジンを乗せることが流行している。
だが、それではパワーが出ないので、走りは当然悪くなる。それでは軽自動車ならいざしらず高級車やスポーツカーは売れなくなる。そこで考えられたのが、ターボチャージャーの利用だ。ターボとは簡単に言うと、排ガスによってタービンをまわして空気を圧縮し、その空気をエンジンに押し込む機械だ。通常なら2000ccのエンジンなら2000ccの空気しか入らないが、ターボを使って圧縮した空気を押し込めば、2000ccのエンジンに例えば3000cc分の空気を入れることができる。その状態で燃料を引火すれば圧縮された分爆発力が大きくなる。つまり、2000ccのエンジンで、2000ccのエンジン用の燃料で、3000ccのエンジン並みのパワーを出せるということだ。

一昔前は、ターボチャージャーとは、より大きくよりパワフルなエンジンを、さらに改造してパワーアップするためのものだった。それがいまでは、より小さくアンダーパワーのエンジンのパワーを維持するためのものとなった。これによって燃費を抑えつつ高級車にふさわしいパワーを兼ね備えるクルマを作れる。

この考え方の前に、テスラのEVどころかHVでさえも圧倒されつつある。HVが売れているのは、最近では日本国内だけだ。北米でも苦戦が始まっている。

このような状況の中で、テスラといえども時計の針を巻き進めることは難しい。やがて化石燃料を使うこと自体が不可能になってしまえば、否応無しにEVを使うことになるが、それは思ったほど近未来ではなく、もしかすると30年以上あとに遅れることにになるかもしれない。その予測に多くの人が納得するようになれば、テスラは存在意義をすっかり失ってしまうだろう。

*REVOLVER dino network 投稿 | 編集