不死身の英雄アキレスの愛馬の名前を持つ異端のバイクXanthusをご存じでしょうか?発音はザンザス、です。ゼファーの大成功で1990年代のネイキッドブームを起こした張本人であるカワサキが、ある意味自らそのブームの幕引きをしようと考えて作ったバイクだったかもしれません。カワサキ・ザンザス(XANTHUS)は1992年から1995年にかけて製造されていた川崎重工業のオートバイ。名前の由来はギリシャ神話に登場するアキレスの愛馬の一頭から。ja.wikipedia.orgというのも、1980年代後半から大ブームになっていたフルカウルのレーサーレプリカたちによって、400ccまでの焼酎排気量マーケットは、完全にスペック競争になっていたのですが、ゼファーは当時としても古臭い空冷エンジン、わずか46馬力というアンダーパワーで乗り込み、結果として市場を席巻していました。しかし、その結果起きたネイキッドブームは、メーカーとしては痛し痒しです。性能を追い求めて、もっと凄いバイクも作りたいし売りたい。とはいえ、レーサーレプリカをまた出すのもせっかくのブームに水を差す。ならば、性能も犠牲にしない凄いネイキッドを作ったろう!ぼくはカワサキの皆さんがそう思って作ったのが、このXanthusだと思います。ザンザスは1969年に同社が発売したマッハの4ストローク版を目指して開発され、4ストマッハの異名を持つ。ja.wikipedia.orgみてください、この強烈なスタイリング。ネイキッドバイクというよりは、カウルを外したレーサーレプリカ、と言えるかもしれません。二本サスが基本だといえるクラシックなネイキッドたちと一線を画するモノサスを装備することで得た、鋭い走り。そして、その性能は400ccで53馬力を誇ります。レーサーレプリカと同等に走ることができるネイキッド。カワサキが提案した新しいコンセプトがそれでした。しかし。Xanthusは、ほとん売れませんでした・・・・。登場するには、時代が早すぎたのです。ネイキッドらしくなく、レプリカでもない。中途半端な存在としてファンは見向きもしません。速さを求めるなら素直にレプリカを。穏やかでクラシカルな走りを楽しむならネイキッドを。そして、そのどちらの要素を欲しいと思う若者たちの場合は、ゼファーやXJRなどのネイキッドをフルチューンして(エンジンのボアアップやマフラーの交換、リアサスをオーリンズに変えるなどして)いく方向を楽しんだのです。ストリートファイターの始まりこれを見てください。www.kawasaki-motors.comXanthusによく似ていますよね??でも、もちろんこれはXanthusではありません。これは現在のZ250です。www.kawasaki-motors.comこのZ250は、ストリートファイターと呼ばれるカテゴリーのバイクです。フルカウルのレプリカ的なバイクはいまでは、スーパースポーツと呼ばれるようになり、スーパースポーツに匹敵するくらいの運動性能を持つネイキッドはストリートファイターと呼ばれるようになったのです。ちなみにSRのような昔ながらのネイキッドは、いまではクラシックと呼ばれるカテゴリーになりました。つまり、カワサキは先見の明があったと言えるでしょう。そしてXanthusはいま大人気となったストリートファイターというジャンルを生み出した元祖的なオートバイなのです。売れなかったけれど、その功績をいま誰かが讃えてあげることが、このXanthusへの手向けなのかな、とトーマスは思います。