漫画や映画など、さまざまなエンターテインメントの中で、国内に限ればもっとも登場回数が多いのが、これ、カワサキ 750RSこと、Z2ではないでしょうか?『あいつとララバイ』『GTO』など、不良少年たち(GTOは元不良の教師w)の愛車として登場し、アウトロー的なムードをプンプンさせるのがこのZ2。特に『あいつとララバイ』(通称あいララ)の主人公 菱木研二(研二くん)とZII(あいララではこう表記します)の関係は、オーナーとバイクの関係性を超えた、恋人以上のつながりがありました。バイク乗りの愛車への偏愛がよく表現されていて、多くのライダーの共感を得ましたね。(研二くんの「いっけー!俺のゼッツー!」という叫びに燃えた人多かったはず)ロレンス発行人の愛車もZ2お決まりのカスタム、集合管に変更。(ロレンス編集部ツーリングのひとこま。トーマス、不参加( ; ; ))KAWASAKI 750RS (Z2)エンジン Z2E型型 746cm3空冷4ストロークDOHC2バルブ並列4気筒内径x行程 / 圧縮比 64mm x 58mm / 9.0:1最高出力 69ps/9,000rpm最大トルク 5.9kg-m/8,500rpmja.wikipedia.orgオリジナルの4本出しマフラーkawasaki.nomaki.jp以前Z1はここでもとりあげましたが、Z2はいわばZ1の弟分。1970年代にZ2が登場した当時は、国内で正規に販売されるオートバイの最大排気量は750ccまでというメーカー同士の自主規制があり、そのため900ccの心臓を積んだZ1をベースに、750cc版にスケールダウンされたZ2が生まれたというわけです。トーマスの【カネがあったら買っちゃうぞ】KAWASAKI Z1 - LAWRENCE(ロレンス) - Motorcycle x Cars + α = Your Life.やっぱりこれかな、と思うのは空冷Zの祖カワサキ四発の元祖、Z1。903ccの空冷直列4気筒の心臓で、82馬力を発生させます。1972年に登場したZ1のコードネームは ニューヨークステーキ 。もともとは空冷4気筒750ccのスポーツバイクを出す、というコンセプトを持っていたカワサキでしたが、1968年にホンダがCB750を先にリリースしたことで、750ccではなく900ccにターゲットを変えて、新たに開発。排気量だけでなく、パワー、最高速、操縦性すべての面でホンダを超えて、世界一の称号を得るために技術のすべてを尽くして作り上げたのが、このZ1。カワサキ Z1www.kawasaki-cp.khi.co.jp空冷直列4気筒903ccのエンジン。同じカワサキの、例えば マッハ のデザインと比べると、Z1は、今でも通じる新しいスタイルであることがわかります。マッハが止まっていれば、バイクに詳しくない人でも古いバイクが止まっているな、というように思うでしょうが、Z1は今に通じるデザインで、古さを感じない、逆に言うと、オートバイ好きでなければマッハのほうが目に止まるかもしれません。タンク形状やシート、後輪を覆うリアカウルなど、Z1以前とZ1以降では明らかにバイクのデザインが変わっています。Z1こそ、現代バイクの祖とも言えると思う所以です。(だからこそ逆にマッハのかっこよさがあるんですけどね)トーマスが選ぶ【カネがあったら買っちゃうぞ】のバイク:第1回 カワサキ 500SS MACH III - LAWRENCE(ロレンス) - モーターサイクルやスポーツカー、ラグジュアリーなハイファッションをクロスオーバーさせ、新しいライフスタイルを提案します。出典:WikipediaKawasaki 500SS Mach III通称マッハ。もしくはマッパ。1969年に登場した、文字通りの”前世紀の怪物”。空冷並列3気筒ツーストロークという、現代では見ることができない特殊な動力源を持ち、500ccながら実に60馬力を発生させます。トーマスもハマったカワサキの90年代の傑作 Zephyr χ(399cc。1996年バージョン)が53馬力だから、その30年も前のマッハの60馬力というパワーが、いかにすっごいかわかりますよね!!車体とか、サスペンションとかタイヤなどが、このパワーに追いついていなかった時代なので、無茶な走りして、事故を起こしてしまうライダーも多かったと聞きます。H1 主要諸元(1969年モデル)製造初年:1968年(1969年モデルから)全長×全幅×全高:2,095 × 840 × 1,080 mmメインフレーム:鋼管ダブルクレードルサスペンション形式:フロント:テレスコピックリア:スイングアームブレーキ前輪:ドラムブレーキ(ツーリーディング)後輪:ドラムブレーキ(リーディング・アンド・トレーリング)乾燥重量:174 kgエンジン形式:KAE 型(空冷2ストロークピストンバルブ並列3気筒)総排気量:498.7ccボア×ストローク:60×58.8mm圧縮比:6.8最高出力:60hp / 7,500rpm最大トルク:5.85kg-m / 7,000rpm点火方式:バッテリー式CDI(Wikipedia)前世紀の怪物であり遺物。でもそこがいい思うに、その後1970年代に入って登場したZ1/Z2は、今でも通じるバイクというか、現代のバイクの始祖のような存在ですね。形を見ればわかるように、最近のストリートファイターと呼ばれる高性能ネイキッド(カウルがついてないバイク)は、Z1/Zの延長線上にあると思うんですが、このマッハはやはり見るからに古臭い形をしています。スピードやパワーを追求していながらドラムブレーキだし。Z1/Z2以降は、少なくともフロントブレーキはディスク化され、やがて前後輪ともに、そしてシングルディスクからダブルディシクへと変わっていきます。(ドラムブレーキはディスクブレーキに対して、全然効きが悪いです。この違いは このサイトで確認 してみてください)つまり前世紀の怪物であり遺物って気がします。©東本昌平|RIDE74 | モーターマガジン社それでも、いや、だからこそ、前時代の古臭いフォーマットで設計されて、その昔の技術の最後の最後の総仕上げ的に作られて、めちゃくちゃ速くて、安全とか快適さを度外視して、とにかくパワーを振り絞った、無茶で無理に無理を重ねたバイク。そういうストーリーが、いまになってみると、ノスタルジックなだけでなくて、何気にセクシーなんですよね。どんなに頑張っても、目を三角に釣り上げて走っても、現代のバイクには勝てないわけで、それなら老いた元スーパーバイクとして、ゆったり走ればよく、そうすれば、楽しく安全に走れますからね。いま買ったら、程度のいいモデルだと、300万円くらいしちゃうかもなあ・・・・。でも、うっかり買っちゃいそうなくらい欲しいなあ・・・・・。(このシリーズ、多分続く)lrnc.ccもちろん現代のバイク、例えば同じカワサキのNinja H2/H2Rや、ヤマハのYZF-R1/R1Mなどのスーパーバイクと比べると、カウルの有無を始め、全く違う形をしていることはお分かりと思いますが、それでもオートバイ、といえばZ1のようなネイキッドタイプはいまだに各メーカーがクラシック、というカテゴリーで作り続けています。Triumph bonnevillewww.triumphmotorcycles.jpYAMAHA XJR1200www.yamaha-motor.co.jpいまでこそ1000ccクラスのモンスターバイクが国内でも普通に売られていますが、1975年から1996年までは国産メーカーが国内で生産するバイクは、750ccを上限としていたのです(法律ではなく自主規制)。だからZ1は国内では得ることができず、入手するには逆輸入車を買う他ありませんでした。そのため、カワサキはZ1をスケールダウンして750ccに仕様変更した750RS、つまりZ2を作ったのです。トーマスとしては、オリジナルのZ1をなんとか買いたいと思って調べてみました。絶版車・旧車販売、しかも空冷Zを多く手がけているUEMATSUさんのHPで見ると300万円あれば、なんとか買えそうですね。でも、全体的にみるとZ2のほうが高値で扱われているように思います・・。絶版車 旧車 バイク|ウエマツ UEMATSU|For Sale車種 : Z1(73初期)価格 :298万円(321.84万円)カラー : 火の玉走行距離 :36646保証 : 付き整備 : USW整備保証書発行業販/現状販売可能uematsu.co.jp欲しいバイクはたくさんあります。新車でも最近気になるバイクがどんどん出てくるし。でもZ1、やっぱかっこいいなあ。ゼファーに乗っていると、その元祖であるZ1やZ2は否応無しに意識しちゃうんですよねえ。lrnc.ccこの規制のおかげで、Ninja 900GPZやカタナにも同じように海外仕様車はオーバー750cc、国内版は750cc というように、海外版と国内版の二つの異なる仕様がありますが、国内版、つまり750ccのモデルが特別視されるようなことはありません。基本的には逆輸入車のフルスペック版を尊重するのが普通ですね。それがなぜか、Z2だけは呼び方もそうだし、たんにZ1のスケールダウンモデルのようには扱われることがありません。漫画や映画の影響も多いのでしょうが、海外版(逆輸入車のフルスペック)と国内限定版、というような分け方から脱却し、逆に”俺たちのバイク”的な尊重を受けたような感じ。それがゆえに、Z1に対するZ2として、多くのライダーに支持されているのです。それもそのはずで、Z2は単なるZ1のボアダウン(排気量を下げること)だけではなく、クランクもショートストローク化され、シリンダー内径も変更されるなど、Z1ベースではあるものの、専用の設計と調整がなされています。その結果、走りの性質もだいぶ変わっていると言われます。そうしたメーカーのこだわりによって、Z2には"Z1のスケールダウン"という”蔑称”が与えられることがありませんでした。だからこそ、Z2はZ2、という誇りに似た感情をもって、いまでもあえてZ2を選ぶライダーは多いのです。永遠のバイク少年 菱木研二の愛車に対する接し方に惚れる。ー『あいつとララバイ』 - LAWRENCE(ロレンス) - Motorcycle x Cars + α = Your Life.大好評の(?)、エンターテイメントの中のバイク乗りたちシリーズ。今回は、楠みちはるさんの傑作『あいつとララバイ』(講談社 少年マガジン 1981-1989年連載)です。主人公 菱木研二は非行で1年留年した、ナンパな不良。初期はラブコメ要素が強かったのですが、徐々に速い公道レーサーたちとのバトルを軸に物語が進むようになり、やがて『バリバリ伝説』にならぶ、バイク少年のバイブルになるんです。この作品の特徴は、他のバイク漫画と違って、主人公とバイクが一体化したような関係性が成立していることです。研二くんは女の子には目移りしても、自分の愛車ZII(ゼッツー。カワサキ 750RS)には盲目的な愛情を注ぎます。最初から最後まで同じバイクに乗り、そして最後まで同じようなスタンスで物語が進む作品は、他にあまりないと思います。.日本国内で、カワサキの空冷Zの祖である ZI(ゼットワン)よりも、弟分であるZII(ZIは海外仕様で900cc、ZIIはそのスケールダウンの国内市場専用車で750cc)のほうが、高値で取引されている現状は、もちろんZIIが国内専用車だったことから玉数が少ないということもあるでしょうが、やはり、『あいつとララバイ』の影響が大きいと思います。作者の楠みちはるさんは車好きでも有名で、車とナンパが好きな少年たちのコメディ『シャコタンブギ』や、悪魔のZのフレーズで有名な『湾岸ミッドナイト』などの傑作がありますが、その主人公たちも同じように自分の愛車を、単なる車以上の対象として、とても大事にしています。ある意味、恋人以上のパートナーとしてみているんですね。研二くんもなんどもなんどもZIIを壊してしまいますが、その度に一生懸命直して乗り続けます。連載当時でさえ、すでに古臭いバイクとして登場するZIIですが、彼の愛情がZIIをスーパースポーツ並みの速さと魅力を持つ一台へと昇華させてるんです。われわれも、とっかえひっかえせず、自分のパートナーをきちんと大事にする、そういう心構えが大事なように思います。そんな当たり前のことを感じさせてくれる良作なんですよ、『あいつとララバイ』は。lrnc.ccまた、ゼファー乗りにとっては、常に気になる存在。ぞれがZ2です。ゼファーを愛しつつ、いつかはZ2、と心のどこかで思ってしまう、それがZ2なんですねえ。