僕はタクシーに乗ると、するべきことが3つある。
一つは睡眠不足を解消するために15分以上乗るときはなるべく寝ること。
ストリートスナップならぬナップ、であるw。
昔は4時間睡眠で全然問題なかったショートスリーパーの僕だが、ここ数年は最低6時間、できれば7時間寝ないと頭が働かなくなったので、小刻みな睡眠で補うことはかなり重要なのだ。
二つ目はメールなどのチェック。
ユーザーサポートなどのメールや雑多な情報を含めると、1日200通くらいのメールに目を通すので、移動時間でこなさないとならない。僕はメールやメッセージの返信が早いという定評を受けているが、それはシャワーを浴びているとき以外はiPhoneを必ず携帯しているからだし、コレスポンデンスはスピードが命と思っているからである。これは商社時代に徹底的に叩き込まれた習慣だ。メッセージを預かって、返さないでいることは相手の時間を無為に奪うことなのである。だから僕は日々のメッセージの70%をiPhoneで行なっている。
三つ目は、スナップを撮ること。写真は趣味であると同時に、僕たちソーシャルメディアサービスのプラットフォーム開発に携わるものとしては、最も重要なコンテンツだ。自分たちのサイトや、お客様にフリーで使っていただけるような画像を撮りためたり、どういう構図ならば、使いやすくインパクトがあるかを研究する場でもある。
PCでは横=ランドスケープで撮影した写真のほうがいいし、スマホでは縦=ポートレイトのほうが使い勝手がいい。物理的な画面サイズや方向というのは意外なほどにデジタルコンテンツの消費傾向に影響を与えている。
ちなみに、タクシーで撮っていると、構図は自然と道路に対して斜めに流れるような写真になりがちだ。
また、どうしても背景にピントが合って、歩いている人が映ったとしても少しボケることが多い。顔が映らなくていい、という副効用があるw。
景色と、歩行者のバランスを考えながらも、あまり深くはとらわれずにとにかく枚数を撮る。A地点からB地点への移動の間に十数枚撮れば、それは連作としてのストーリーもたまには生まれるからだ。
自分が歩行中のときは、なかなか歩きスマホはマナー違反だからあまりできないが、スナップを撮るにも、一瞬立ち止まって周囲をちょっと気にしつつサクッと撮る。カメラのシャッターはランドスケープに最適な位置にあるので、どうしても普通の人なら80%の写真は横型になる。意識しなければ縦には撮らないだろう。
だが、逆にスマホでしか写真を撮らない人だと、縦に構えるからポートレイト、縦型の写真が多くなる。セルフィーの上手な撮り方を最近よくネットやTVで公開しているひとを見るが、1000%縦に構えている。
つまり、デバイスや、シチュエーションによって構図は影響を受けている。それによってネット上、ソーシャル上に流れるコンテンツの性格、見やすさなども変化をする。そういう些細なことを、自らどっぷりと浸かることで再発見し、再思案し、常に新しい時代に自分を置くことを考えていくのである。
写真とは、「写真とは、時間と場所を、光と陰で定着させてコピーすること」だ。ならば、自分自身をもそこにコピーする。コピーすることで、時代を意識し、理解していくのだ。
了解したか?了解した、というやりとりを、俗に"Do you copy?" "Copy that" と英語で言うが、Do you copy?」とは「情報を正しく複写したか?」=「 こちらの言っていることが伝わったか?」という意味の転用である。
僕もまた、写真を撮る、という行為を通じて、現在と未来の情報をコピーし、理解していく。そういうわけだ。