2014年の8月ももうすぐ終わる。夏らしいことはほとんどしていないが。
この8月は、一生忘れ得ない別れを二つ、経験することになった。数年以上のつきあいで、多分死ぬまで共にあると信じていた仲が簡単にブレイクして、まるで交わった直線が接点を超えたあたりからどんどん方向を変えて遠ざかっていくかのように離れていく。
つらいが、それを止めることも引き戻すことももはやできない。
せめて互いの記憶を永くとどめておきたいと願うが、それもセンチメンタルかつ自分勝手な感傷に過ぎないことも、始めから分かっている・・・・。
二つの別れの一つが、こいつだけしかいないと誓ったはずの相棒、Vespa P200FL2との別離だ。この週末に、小粋なイタリア娘とのランデブーは終わりを告げ、新しいパートナーの元へと旅立っていく。一生面倒を見ると約束したのに。
長年憧れ続けたマドンナとの、奇跡的な邂逅の前に、後ろ姿美人のVespaとの別れを決意した僕は、自分勝手と言われてもしょうがないだろう。
さようなら恋人。君を忘れようと努力する僕を許してほしい。忘れられない、でも思い出さないように必死で努力する。捨て去ったはずの憧憬に再び心を奪われた僕を、どうか許してほしい。