http://recode.net/2015/03/03/fab-coms-fire-sale-is-official/
300億円が15億円に・・
ピボット(事業領域やプロダクトの急転換)による急成長したスタートアップ。
その代表例として大きな注目を集め続けたFab.comが、経営破綻した。
日本円にして300億円以上の資金調達に成功した彼らだが、最終的には15億円ほどで売却に応じるらしい。
Fab.com は他所では売っていない、ユニークで美しいプロダクトを集めて販売するセレクトショップ型のECだった。サイトはPinterest風で、画像を大きく美しく見せることで消費者の心をつかんだ。
それが、海外進出を急いだばかりに、商品が足りなくなり、結局他のどこでも買えるような商品をかきあつめることで、独自性を失った。どこにでもあるファッションECに成り下がってしまったのだ。
やはりフォーカスを失うということは、スタートアップにとっては致命的と言えるだろう。
日本市場を目指していたFab.com
僕はFab.comの共同創業者兼CEOのジェイソン・ゴールドバーグ(写真)のインタビューに立ち会ったことがある。
わずか1年半前のことだが、日本市場への進出と、成長戦略について自信満々に語っていたのが、まるで儚い夢のようである。
ちなみに僕もiPhoneを使って自分のサービスを紹介したのだが、「デザインはまあまあだね」というのが、彼の気のないコメントだった(苦笑)。
出典:http://www.projectdesign.jp/201306/cover-story/000564.php
ゲイのためのサービスからゲイのセンスによるサービスへ
もともとジェイソンらは、ゲイ専用のSNSを作っていたが、行き詰まり、ゲイのためのサービスではなく、ゲイ(である彼ら)の、卓越した美的センスを生かして、より多くの人々に対するサービスを作ることを考えた。それが彼らの目利きによって集めた商品を売る、美しいECサイトというアイデアであり、当初は確かに大成功した。
しかし、冒頭で述べたように、成長を急ぐあまりにコモディティ(日用品)的な商品にまで手を出して、失速することになった。
自分たちのセンスを信じて立ち上げたサービスなのに、自分たちのセンスこそがコアコンピタンスであることをどこかで忘れてしまった。資金が豊富になったことで、傲慢になっていたのかもしれない。
いずれにしても、Fab.comのストーリーはこれで終わった。
世界的な知名度を得られるスタートアップは、ほんの一握りにすぎない。その意味では、彼らを単なる失敗者として扱うのは非常に失礼だ。
彼らが成功しかけた、そこまでの戦略からのエッセンスを学び、失敗に至ったプロセスを避ける方法を考える、それが僕たちの正しい態度であると思う。