「コンテンツこそが王様だ」と、ビル・ゲイツは言った。1996年に
モバイルとソーシャルネットワークの普及によって、インターネットマーケティングは大きく変貌せざるを得なくなった。
Googleがネット業界の覇者になって以来、長らくSEO/SEMがインターネットマーケティングの軸となってきたが、現在のインターネットユーザーの多くは検索をしない。モバイル上ではブラウザーを使わないからだ。
モバイルを多用する層は(主にモバイルを使う、という意味のモバイルファーストに加えて、モバイルしか使わないというモバイルオンリーユーザーも、若年層には激増している)、1日のネットユースのうち、ブラウザーを使うのはわずか14%程度の時間だという。主に使うのはゲームアプリだったり、Facebook、Twitter、Instagramなどのソーシャルアプリである。
ただ、ゲームはともかく、インターネットとの接続を必要とするソーシャルアプリで消費される多くのコンテンツはWebコンテンツであり、URL+HTMLのデータフォーマットである。つまり、FacebookやTwitterなどのソーシャルアプリ上でURLがクリックされることで、ネットのトラフィックが発生している。
トラフィックの発生源は、Googleの検索結果から、ソーシャルメディア上で受動的に消費されるコンテンツに含まれるURLへと変化しているのである。
このことから、インターネットマーケティングは、検索キーワードを選び買うことから、読者に喜ばれる、もっと具体的に言うと読者が他の読者に教えたくなるようなコンテンツを作り、ソーシャルメディア上で拡散することへと変化した。これをコンテンツマーケティングという。
ビル・ゲイツの予言は、人々はコンテンツを受動的に消費するようになり、良いコンテンツを持つものがインターネット上で大きな影響力を持つようになる、というものだったが、この予言が本当のものになるのに20年近くかかったことになる。
コンテンツマーケティングのキーファクターはオウンドメディア
コンテンツを作ってソーシャルで拡散?ならば最初からソーシャルメディアだけにコンテンツをアップすればいいではないか?そう考えて、Facebookページを作り、TwitterやInstagramアカウントを作って、せっせとコンテンツを流し込む、それも悪くはない。
しかし、それではコンテンツはただニュースフィードを流れて消え去ってしまうし、検索エンジンに引っかかりづらい。検索が重要性を減じたといっても、無視することはできないはずだ。
そこで、コンテンツを作ったら、それを蓄積し、表示する場所が必要だ。そう、それがオウンドメディア。自分たちの都合だけで管理できる、自分たちだけのメディアだ。コンテンツマーケティング上、オウンドメディアはコンテナであり、コンテンツを蓄積し、いつでも引き出せる場所として、重要なファクターなのである。
要するに、良質なコンテンツを制作し、オウンドメディアに蓄積し、ソーシャルメディアに(オウンドメディア上のURLとともに)シェアしていく。また、オウンドメディアへの来訪者がさらにその情報をシェアしてくれるような設計にする。これがコンテンツマーケティングの骨子になるのだ。
さらに言えばオウンドメディアへの集客方法と、そうやって発生させたトラフィックをどこにどう誘導するかを設計することもまた、必要になってくるが、いずれにしても、用意周到に組み立てたオウンドメディアがなければ、せっかく良いコンテンツを作っても一時的な効果しか期待できないし、拡散したコンテンツとそれによるトラフィックを、効率的に運用することもできない。
従って、コンテンツマーケティングをオウンドメディアマーケティングと言い換えても良いほどに、オウンドメディアは重要なキーファクターなのである。