日本では主流のマイクロ企業の買収
Techcrunchが、数名程度の小さなスタートアップの買収がトレンドになると書いているが、日本国内に限って言えば、ほとんどがそういう買収だ。
シリコンバレーのように、相当に成長した後でのスタートアップを巨額で買収するようなことはまだまだ少ない。金額でいえば、5億 - 10億円くらいの買収は国内でも増えたように思うが、数十億円を超えるような買収は多くない。最近では数十億円の調達を成功させるスタートアップが増えてきているので、彼らを買収しようと思えば100億円単位のディールになるが、そこまでいくと、まだ国内の事例はほぼない。シリコンバレーではTumblrやInstagramなど、そうそうたるベンチャーの先行するメガベンチャーがさっくり買っている。
(FoursquareをYahooが買うのでは?という憶測もある)
だから我々にとっては今更?という気もするし、目新しさはないが、うまくまとめられていて、改めて人材と初期プロダクトを買う、という買収に対して目を向ける企業の経営者も増えるかもしれない。
有効な戦略として定義されることに意義があるかも
特にIPOを果たしたばかりの企業であれば、大規模な買収はなかなかできないが、かといって成長を加速するための「ブースター企業」の買収でさえも、日本国内ではアクティブではない。特にIPO直後の決算で下方修正を行うことへの、過度な忌避感がある現在では、なかなか踏み切れないだろう。
しかし、この”ブースター買収”の意義が理解されれば、逆に短期的な利益追求より、意識の高い戦略として認めれらるようになるかもしれない。
それなりの規模のスタートアップの買収となると、たいていシリーズB以降、4000万ドル以上の資金調達を行った企業になる。その時点での評価額を考えると、決して安くない買い物だ。規模が大きいほど、ビジネス面と統合面でのリスクが増える。
マイクロチームは、たいていシリーズB以前の規模で、1000万ドル以下の資金調達を行っている程度だ。シードラウンドのチームなら、調達した数百万ドルで運営している規模の所もあるだろう。小さなプロダクトを持つ小さなチームなら、統合するのも難しくない。更に企業戦略としてもマイクロチームの合理性を見出すことができる。競合他社が手に入れることや、将来的にそのスタートアップが競合になることを防ぐことができることを考えれば、バーゲン価格だ。
プロダクトが失敗して買収側に負担があったとしても、自社内で制作した場合とそう変わらないだろう。少なくとも、素晴らしいチームは手元に残る。