最近アウトプットばかりでインプットが少なすぎると、感じていた僕は、毎週必ず一度は訪れる六本木の青山ブックセンターで、本書を購入した。
表紙には荒木飛呂彦先生自身と思われる人物。彼にハグされているのは、大好きな、キャラクターの一人、岸田露伴。
本書には、荒木先生が考える、王道漫画(日本人が好む正統的な漫画の在り方のこと)の描き方、創り方が丹念に記されている。
そしてその方法は、もちろん紙に描かれた漫画という二次元のメディアという制約条件を踏まえてのメソッドであることは間違いないが、エッセンスはおよそ全てのクリエイションの「王道」に通じるものだ。
サービスを作るB2C系のベンチャー、特にゲームやメディアを作るスタートアップには、ぜひ一読を勧めたい、優れた内容がまとめられている。
荒木先生の文章は、ストレートでわかりやすい。
難解さの欠片もない名文なので、その辺りも参考になると思う。
(ちなみに僕は、こねくり回したのような文体がキライだ。ムダな装飾や、もって回ったような書き方をしたテキストは、一行たりとも読みたくない)
荒木先生は、クリエイターには地図が必要だという。独りよがりにならず、果てしない創作の道程を進むには、時として迷いや惑いが生まれ、どの方向に進んでいいかわからないことがある。だから、そんな時に直接的か間接的かは知らず、自分の道を指し示してくれるヒントが必要だと。それが荒木先生の言う地図であり、後進の漫画家にとっての地図の一つになればよい、という想いで本書を記したという。
そして、前述のように、本書は漫画家のみならずさまざまな創作に挑むクリエイターの良き地図になり得ると思う。ぜひ、ご購入されることをオススメする。