dino。

このネーミングは、digital interactive networking objects、の頭文字をとったものだ。
デジタルで双方向性があってネットワーク化されたオブジェクト。つまり、オンラインでさまざまなデバイス上でやりとりされるコンテンツのことを指している。

いまやコンテンツは、アンバンドルされている。特定のデバイスでしかみられないということもないし、特定のサイトでしか読めない、ということはない。いい例がYouTubeで、YouTube上にアップされた動画コンテンツは、YouTube.comでも観られるし、YouTubeのアプリでも観られる。そしてFacebook上でも観られるし、このdino上でだって楽しむことができる。
同じように僕がいまdinoで作ったコンテンツを読んでいる人は、必ずしもhiro.dino.vcというサイトで読んでいるとは限らない。Facebook上で読んでいるかもしれないし、dinoのポータルであるdino.network上で読んでいるかもしれない。PCやMacで読んでいるかもしれないし、iPhoneで読んでいるかもしれない。

コンテンツはいまや作られた瞬間に作り手の手を離れるし、特定のメディアやデバイスにも縛られない。作られたそばから束縛を逃れ、自由になるのだ。

dino には二つの側面があって、一つは自由に綺麗なコンテンツを生成できる、シンプルかつ強力なエディターであること。もう一つは、作られたコンテンツそのものであり、それらを束ねて流通させるためのプラットフォームもあること、だ。
dinoを使うと、自分自身のBlogに似て、自分だけのWebサイトを持てる。それは自分のコンテンツをためておくためのコンテナだ。
同時に、そのコンテンツはdino.network上でも配信され、多くの人の目に触れるチャンスを得る。そこで得た読者がソーシャル上にシェアしてくれれば、FacebookやTwitter上にもそのコンテンツは流れていく。

僕たちが担保しなければならないことは、誰でも簡単に、美しいHTMLで、OGPに対応し、SEO的にも正しいコンテンツを作るための手伝いをすることで、それはdinoのエディターが実現している。デスクトップでもスマホでも、誰もが簡単に綺麗なコンテンツを生成できる。

そして、そのコンテンツがよりたくさんの読者を得る支援をしたい。逆に言えば、なるべく多くのトラフィックをdinoのユーザーにお送りすることで、より多くのコンテンツをdinoも集約していくことになる。その意味で我々は、dinoをソーシャルコンテンツネットワークにしていきたいと思っているのである。

今にして思えば、この記事はFacebookのInstant Articlesへの支援射撃的な発言だったのだな。

これでようやく意味が通じたよ。

荒木飛呂彦の漫画術

集英社新書

最近アウトプットばかりでインプットが少なすぎると、感じていた僕は、毎週必ず一度は訪れる六本木の青山ブックセンターで、本書を購入した。

表紙には荒木飛呂彦先生自身と思われる人物。彼にハグされているのは、大好きな、キャラクターの一人、岸田露伴。

本書には、荒木先生が考える、王道漫画(日本人が好む正統的な漫画の在り方のこと)の描き方、創り方が丹念に記されている。

そしてその方法は、もちろん紙に描かれた漫画という二次元のメディアという制約条件を踏まえてのメソッドであることは間違いないが、エッセンスはおよそ全てのクリエイションの「王道」に通じるものだ。

サービスを作るB2C系のベンチャー、特にゲームやメディアを作るスタートアップには、ぜひ一読を勧めたい、優れた内容がまとめられている。

荒木先生の文章は、ストレートでわかりやすい。
難解さの欠片もない名文なので、その辺りも参考になると思う。

(ちなみに僕は、こねくり回したのような文体がキライだ。ムダな装飾や、もって回ったような書き方をしたテキストは、一行たりとも読みたくない)

荒木先生は、クリエイターには地図が必要だという。独りよがりにならず、果てしない創作の道程を進むには、時として迷いや惑いが生まれ、どの方向に進んでいいかわからないことがある。だから、そんな時に直接的か間接的かは知らず、自分の道を指し示してくれるヒントが必要だと。それが荒木先生の言う地図であり、後進の漫画家にとっての地図の一つになればよい、という想いで本書を記したという。

そして、前述のように、本書は漫画家のみならずさまざまな創作に挑むクリエイターの良き地図になり得ると思う。ぜひ、ご購入されることをオススメする。

Techcrunchの記事だが、いったいなん年前の記事だ?と思わんばかりの焼き直し記事。
まるで、タバコは健康に悪い!と居丈高に叫んでいるような記事で、読んでしまって失望した。

僕が思うに、スタートアップが守るべきは以下の3つでいい。

01. 自分らしい業界を選べ

僕はゲームが嫌いだ。いや、嫌いというほどではないが、いわゆるRPGは時間を食うから絶対にしないし、ファンタジーも全く興味がないからやらない。
ゲームをするとすれば、例えばボクシングとか、例えばクルマやバイクとか、とにかく自分がリアルでも好きな趣味を仮想化してくれたものだけだ。残念ながら最近はそういうゲームは流行らないので、結局ゲームはしない。

従って僕がゲームを事業にすることはない。
自分がのめり込めない分野で、懸命に働くことはできない。例えばいま、僕はオートバイに関するメディアを共同運営しているが、これは実に自分らしい。また、映画のメディアも作っているが、これまた僕が大好きな分野だ。
だから他の仕事がたくさんあっても、少しでもそのメディアに関わろうとする。僕らしいと、自分でも思って、人にも思ってもらえる分野なら、死ぬほど働ける。

02. 異なる世代、異なる性の人たちと仕事をしよう

残念ながら僕はもはや若くない。そして残念なことに(実はそんなに残念ではないが)男であり、女性ではない。
僕には、若い世代には分かる大事なことがわからない。女性には分かる微妙な違いがわからない。だからこそ、若い人を重用し、女性を集める。

自分とは考え方が違う人間と出会うと、いらいらする。だけどその苛立ちは、相手もまた感じているはずのものだ。その一種の違和感は、自分の体内では組成できないビタミンのようなものだ。だから外部から取り入れる。積極的に。
(あ、この条件は、Techcrunchの記事でもダイバーシティーとして取り上げてたね。でも、そんなことはこれまでも何百回も書いてきたはずだよ、Techcrunch)

03. 評判を気にしろ、評判を作れ

外部の人間、メディア、投資家、なんでもいい。
自分の会社以外の誰かからの評価は大事にすべきだ。言い換えれば、PRには十分な注意と予算と時間をかけるべきだと思う。

僕たちが作る製品・サービスがいかに革命的で斬新で最高なものだとしても、十分な資本を得なければ仕上げることができないし、世の中のすべての人に知らしめることができない。逆に言うと、最上級なモノを作るには時間と金がかかるが、作る時間を稼ぎ、資金を確保するには、世間の期待値を上げることが絶対に必要だ。

お金をたくさん集めた奴が勝ち、生き残る。それは真実で、とても重要なことだ。
そのためにも、あなたとあなたのチームが、何かやってのけるすごい連中だという評判をつくることはとても大事なことである。

以上!

美しいテキストを書くためのパブリッシングプラットフォームとして

WIREDはどうやらMediumが好きらしい。

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日本ではあまり多く語られることがなく、VCのようなITウォッチャーであっても「知らない」と言われることが多いベンチャー。それがMediumだ。その中でWIREDは、積極的にMediumを取り上げる、数少ないメディアである。

僕は2012年にMediumが登場して以来、彼らのシンプルでエレガントなプロダクトに惹かれて、度々さまざまな媒体への寄稿を通じて、Mediumの可能性を論じてきた。
同時に、自分たちのプロダクトが徐々に彼らに似ていくのを(もしくは彼らのプロダクトが我々に似てくるのを)、不安と喜びが複雑に混ざる感情を止められずにいる。

僕が興したリボルバーは、クローズドベース(Revolver)オープンベース(dino)のメディアを簡単に立ち上げることができるメディアプラットフォーム企業だ。

前者には板野友美さんやMay.Jなど、いまをときめくアーティストのコミュニティがあるし、後者には椎名ひかりさんや田所あずささんなどの若手の芸能人のメディアがある。また、dino上には個人メディアだけでなく、特定のジャンルに絞ったキュレーションメディアが2015年4月末現在で12媒体あり、医療やIT、モーターサイクルなどのフォーカスが効いたコンテンツを毎日生み出している。

これらの様子は、Mediumと実によく似ている。
個人がブログのように書き、プロや企業がオウンドメディアとして書く。洗練されたコンテンツを量産する場としてのパブリッシャーとしての側面と、それらのツールを提供するプラットフォームとしての側面を併せ持つ。
これをプラティシャー(Platform + Publisher)と呼ぶのだが、Mediumも我々も、それ以外の言葉で的確に表現できない存在である。

Mediumとの違い

現在、Medium上では、音楽、テック系、旅行、アートなど、5つのメディアがあるという。
メディアの数では我々の方が上だが(僕は年内に100メディアにしたいと思っている)、月間のユニークユーザー(MAU)は、Mediumが2500万人に対して、我々はまだ55万人(203万PV)なので彼我の差は大きい。

ちなみに、内訳を書くと
・MAU
Revolver 25万人 dino 30万人
・PV
Revolver 140万PV dino 63万PV

となる。
ちなみにMediumではTTRと言って、PVやMAUではなく、コンテンツが読まれたトータル時間、つまり1ヶ月に何時間コンテンツが読まれたかを好んで指標に使っている。
これはある意味正しい。Mediumのようなテキスト重視のメディアでは、オーディエンスの没入度合いがロイヤルティにつながるからだ。
僕たちのメディアでも同じことは言えるが、VCやマスコミにはMAUのほうが理解してもらえるので、今のところ僕たちはMAUとPV、特にMAUをKPIに考えている。

Mediumもdinoも、動画・静止画・リンク・テキストを効率的に書き出すための、シンプルで簡単なエディターを採用している。メディア面も非常によく似ている。

違うのは、Mediumでは、自分のページは作れるが自分のサイトは作れない。dinoは自分のサイトとして、コンテンツをまとめてトップページを自分好みにカスタマイズすることができる点である。

つまりMediumは一つの場だが、我々はdinoにしてもRevolverにしてもユーザーが独自に自分の場を作れる、無数の場の集合体と考えている。しかし、そういう違いがあってもやはり、Mediumと僕たちのプロダクトは似てきている。

とはいえ僕自身は、Mediumの創業者であるエヴァン・ウィリアムズほどはテキスト重視ではない。テキストは大事だが、コンテンツとして、画像や動画とのバランスが必要であると考えているのだ。
Mediumではロングフォームの記事を重要視するが、僕は1分で読めるようなショートフォームもあっていいと思っている。

さまざまなコンテンツが交錯し、ブレンドされるようなプラットフォーム。それを目指しているのだ。

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